老人ホーム入所に必要な身元引受人や保証人の責任について

姉妹(姉)
親戚から身元引受人になってほしいって言われたの。

サインしてもらうだけで迷惑はかけないからっていわれたんだけど・・・。

身元引受人って、どんなことをしないといけないのかしら。

セツ子

身元引受人には、入居者本人に何かあった時に身柄を引き受ける役割があるの。

その他に、入居者に万が一のことがあった時の緊急時の対応相談や、死亡時の遺体の引受けといった責任も生じるわ。
サインだけして済む問題じゃないのよ!

姉妹(姉)
でも、私が断ったら施設に入れなくなってしまうのではないかしら・・・。

身元引受人は、絶対に必要なのよね?

セツ子
身元引受人は、法律上は必要だと定められていないわ。

でも、民間有料老人ホームだと身元引受人や成年後見人、連帯保証人が居ないと入所出来ないのが一般的!

姉妹(姉)
身元引受人以外に、連帯保証人や成年後見人というものもあるのね。何が違うのかしら?
セツ子
連帯保証人は、入居者と一緒に様々な責任を負う人のことよ。

例えば、入居者が施設の利用料を払えなくなった時には、代わりにお金を支払わないといけないの!

成年後見人は法律で定められた制度で、認知症などで判断能力がない本人に代わって、財産管理などを行うわ。

それぞれで、負うべき責任や役割は違うから注意して!

姉妹(姉)
金銭や法律的な事まで絡んでくるとは思わなかったわ。気軽にサインしちゃいけないのね。
セツ子
特別養護老人ホームやグループホームの場合、入所前または入所と同時に成年後見人の申請をしないと入所できないことも多いわ。

安易に引き受ける前に、身元引受人・保証人・成年後見人の、立場や責任、リスクについて知っておいて!

老人ホームに必要な身元引受人には役割と義務がある

法律的に定められているわけではありませんが、老人ホームのほとんどは身元引受人がいないと入所することができません。

身元引受人がしなければいけないことは、主に5つあります。

  • 施設に入る時や出ていく時、病院へ通う時や入院しなければいけない時の手続き
  • 死亡時の手続き
  • 施設を退去する時の手続き
  • 行政関係の手続き
  • 日常生活のサポート

①施設に入る時出ていく時・病院へ通う時入院しなければいけない時の手続き

電話連絡が取れる人

万が一のことがあった時に連絡がつく電話番号は必ず書かなければいけません。

その他、入退院や手術の説明や内容を聞いて、同意書にサインするかどうかという役割も。

何か判断が必要な時に、認知症により本人が意思決定ができない際には、身元引受人が判断しなければいけないこともあります。

様々な場面で判断を迫られるということを覚えておきましょう。

②死亡時の手続き

亡くなった場合のご遺体の引き取りは身元引受人の役目です。

その他に、火葬、葬儀、供養の手配が必要になります。

手配はもちろん、それらにかかる費用をどう工面するかも問題になってきます。

③施設を退去する時の手続き

退居時の本人の身柄や荷物の引き取りはもちろん。

未払いの医療費や利用料がある場合には精算しなければいけません。

④行政関係の手続き

介護保険制度の介護サービスを利用する場合には、入居者が居住する市町村へ申請して、要介護認定を受けなければいけません。

必要な書類を揃えて各種手続きを行い、入居者と一緒に訪問調査に応じる役割があります。

⑤日常生活のサポート

日常生活のサポート

金銭管理や、必要な物の買い物、毎月のお小遣いを渡しに行く、といった日常のサポートも身元引受人の役割です。

施設内で何かトラブルがあった時や、入居者のことで相談事がある時にも対応が求められます。

保証人・成年後見人との違い

成年後見人は、法律に従って入居者の財産管理を行う人のことです。

入所や入院などにかかる費用を入居者本人の財産から支払う役割があります。

成年後見人を決めるのは、裁判所です。

本人が「この人にしたい」といって、自由に決められるものではありません。

過去の実績から言うと、成年後見人の約8割が入居者の配偶者や子供、2割は甥や姪、その他の親族、司法書士や弁護士など。

ただし、子供であっても、未成年である場合には成年後見人になれません。

配偶者や親せきであっても、破産していたり、行方が分からない人の場合も認められません。

一方で、保証人は裁判所が決めるのではなく、入所者が自分で選ぶことができます。

そのため、「保証人がいないと施設に入れない」とか「保証人になるだけでいい。迷惑はかけないから」と、身内から頼まれるケースは多いです。

しかし保証人には様々な責任が生じます。

注意

「入所者本人がしたことは、保証人の責任」になりますから、親切心だけでサインするのは危険です。

入所者が施設の人に危害を加えてしまった場合には、賠償責任も生じます。

認知症がある場合は、この点が問題になる事も多いです。

金銭的な事はもちろん、日常生活に関する些細な事でも施設から確認のための連絡が入ります。

通院

入所者が自己判断できない事柄については、確認や判断を迫られます。

事故や病気で病院を受診する際の手続き、治療に関わる同意書など、緊急時の対応など、やらなければいけないことは山積み。

尚、成年後見人は保証人にはなれませんので注意してください。

身元引受人・保証人・成年後見人になるリスク

「身元保証」だけやってほしいと簡単に頼まれてしまうことは多いので、どのようなリスクがあるかどうかを知っておくことは重要です。

身元引受人

「身元引受人」は、死亡した時にご遺体を引き取り、適切な処置をする義務があります。

例えば、火葬や葬儀の手配。

施設内で亡くなった場合は、まず身元引受人に連絡が入ります。

長時間施設にご遺体を置いたままにすることは出来ないので、すぐに施設に駆けつけて葬儀社を手配し、各方面へ連絡をとる役割があります。

葬儀社と連携している介護施設も増えてきているので、事前に確認しておくといざという時に慌てなくて済むかもしれません。

身元保証人

一方、「身元保証人」には、施設に入った本人が、他人や施設の設備を傷つけてしまった時にそれらを賠償する義務があります。

施設のイスや窓を破損したなら修理費用が、施設内の人に怪我をさせてしまったのなら治療費が請求される可能性があります。

連帯保証人がセットの身元保証人は多いです。

サインが求められる書類には明記されていないものの、契約書の細かい部分を読んでいくと「身元引受人は、債務の責任も負わなくてはいけない」といった内容のことが書かれていることもあります。

つまり、入居者が支払い出来ない場合には、保証人が代わりにお金を支払わなくてはいけません。

この経済的保証が、身元引受人・保証人の最大のリスクと言えるでしょう。

なお、成年後見人については、本人が第三者に損害を与えた、または損害を発生させた場合には、責任を負う可能性がでてきます。

重要

身元保証人等を引き受ける場合は、施設に提出する契約書の内容も確認しておいてください。

身元引受人になれる人

子供

身元引受人は、同居の家族や親族、姪っ子やその子供がなるのが一般的。

疎遠でも面識がなくても問題ありませんし、基本的には海外に住んでいても引き受けることができます。

身内ではなく、友人や知り合いなど他人に任せることも出来ます。

ただし、身元引受人には、金銭管理を含めて全ての判断をゆだねることになります。

親族がいるのに他人にやらせる場合は、相続の際にトラブルになることが多いので注意が必要です。

身元引受人が相続人でない人の場合には、のちに財産を受け取る予定の相続人から、細かく口を出されたりする可能性もあるということを理解しておきましょう。

施設によっては「身元引受人は入居者の家族のみ」という場合もあるので、事前に確認しておく必要があります。

身元引受人が遠方の場合の対処

身元引受人や子供がいない、もしくは遠方に住んでいる、または忙しくて施設に足を運べない場合には「財産管理契約」を利用して、他の方に財産管理をしてもらうといいでしょう。

財産管理契約とは

お金の管理

信頼できる第三者に自分の財産の管理を依頼することです。

預貯金等を管理してもらい、銀行から必要なお金を引き出してもらったり、お小遣いを持ってきてもらうなどの役割をお願いします。

ただし、契約には本人と第三者の合意が必要です。

本人が認知症にかかっていて判断力がない場合には契約を結ぶことができないので、行政書士や司法書士に間に入ってもらう必要があります。

所事情で身元引受人を頼めないケース

身元引受人がいないと、絶対に施設に入所できないというわけではありません。

諸事情で身元引受人が頼めない場合には、入居を希望している施設に相談するか、身元引受人がいらない介護施設を選ぶようにします。

パンフレット等に「身元保証人相談可」と書かれている施設だと、入居契約の時に保証人の代行支援を行っている団体を案内してくれることもあります。

それでも解決しない場合

役所の福祉課に相談し、依頼をかけて保証人を立ててもらうという方法も。

どうしても身寄りがいない場合は、NPOや行政が身元引受人になることになります。

身元引受人

任意後見制度を利用して、施設と交渉するという手段もあります。

この制度を利用するための条件は、契約を結んだ時点で入所者本人の判断能力がしっかりしていること。

認知症などがみられる場合は利用できません。

最終手段として、民間会社などが行っている身元引受人サービスなどを利用したり、弁護士事務所や、NPO法人、公益社団法人の方に代役としてお願いする方法もあります。

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