規則破りを黙認することもある!入所者とご近所のお付き合い事情

介護士は施設のことを「終の棲家と言うことはありません。

たしかに人生の最後を迎えるまで施設で生活することになります。

しかし、終命することが目的ではないので、そのような言い方を嫌うわけです。

でも入所者のなかには自分の家に戻る場所がないことから、生涯最後の場所と言う人は多くいます

それだけに悲観されることなく最後まで楽しく過ごしてもらえるようにと、自由に行動できるよう規則破りを黙認することもあります。

 

盃1

規則破りの常習者は子供たちの人気者

団体で生活している施設では、ある程度同じ行動をとってもらわないと、介護士は仕事に忙殺されて大事なチェックを見逃すことがあります。

それによって生命に関わることであったり、地域を巻き込むほど大きく事件化することもあるので、簡単に好きにしていいよ」と言うわけにはいかないのです。

ある入所者は片目が不自由で「目の不自由なお年寄り」として入所しました。

すでに昭和の時代から入所していますので、ここの「主(ぬし)」のようになっていますが、なんとも明るい性格で誰からも愛されています。

収入は無く施設と自治体から受け取るお遣いの少々しかありません

その大半はご近所の人や動物を被写体にしたカメラのフィルムにかわり、プリントした写真を近所に配ることで消えていきます。

彼は唯一の介護士なしで外出できる入所者なのです。

いまの基準では入所は難しいでしょうが、当時は措置費制度の時代だったので、うまいタイミングで入ることができたのでしょう。

そんな彼は近所でも人気者のお爺さんでもあります。

いつも子供たちが回りを囲み、お爺さんと一緒に犬や猫に餌をあげています

施設で貰ったおやつの乾パンを食べずに、町内で飼われている犬や猫のもとにやってきてシツケをしています。

飼い犬はパブロフの犬と化し、お爺さんを見ただけでよだれを流して従順になります。

吠えまくる恐ろしい犬も狡賢い猫もお爺さんにかかれば一溜まりもありません。

子供たちもお爺さんと一緒なら安全だと言うことを知っていて、一緒に餌付けを見ているわけです。

お爺さんは飼い主のもとにペットの写真を届けてくれます。

決してお礼のお金は受け取ることはないのです。

施設に新しいフィルムをもってお礼に行くのが飼い主たちのシキタリとなっています。

お爺さんの終の棲家

そんな人気者のお爺さんが、唯一みんなの好意を受けるのが「夏祭り」です。

屋外に会場を設置し地域の人やご家族にも参加してもらい、入所者との交流を図ってもらうのが目的です。

また避難訓練などでもご協力いただいていますし、ボランティア活動でもたくさん参加して頂いていることへの感謝も兼ねている法人にとっても大事な行事なのです。

もちろん入所者は無料で飲食ができますが、基本的にアルコールは摂れません。

でも彼だけは黙認されていて真っ赤な顔になっています。

彼の周りにはたくさんの人が集まり、その人気は施設長や来賓よりもすごく、地域の人はここぞとばかりに差し入れと称してアルコールや食べ物を持って集まるわけです。

普通であれば健康を心配して解散してもらいますが、年に一度だけ地域の人の好意を受けて幸せそうにしいるのですから、その人だかりに割って入るような無粋なまねをすることはありません。

強いて言えば施設を代表する広報活動係のような存在として、施設の人達も彼のためにできた輪のなかに入っていくことになります。

そんな彼にも終の棲家の時期がやってきました。

あっという間のことで、夏祭りの少し前でしたが静かに旅立って行きました

地域では彼が亡くなったことを知らずに心配して訪ねて来られる方もいらっしゃいました。

そして夏祭りの当日には今までにないほど、たくさんの人たちが集まり急きょプログラム変更し、追悼を行うこととなったのです。

家もお金もなくお身内もいないかったお年寄りですが、こんなに愛された人はいなかったと思います。

墓1

もしかすると措置費時代に入所できて施設の生活で黙認された活動ができたこともあってたくさんの人たちと知り合えたのかもしれません。

きっと自分を律した節度ある態度が地域から愛された理由だったのでしょう。

いまでは入所者の基準が厳しい時代になり、地域の人とこんな接し方ができる人は入所することはできなくなってしまいました。

いつかは以前のようにお年寄りに優しい基準となって、また黙認できる入所者さんのお世話ができる時代が来ればいいなと思っています

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ