要介護3~5の方の老人ホームの選び方
①安心(介護・医療体制)>②費用>③家族からみた立地でしぼりこむのよ!
だって、急な時などにすぐにいけるところじゃないと・・・。
しかも場合によっては高度な医療行為や24時間の介護が必要になるわ。
そのような状態の家族を入居させるのよ。
安心できる施設であることが一番よ!
確かに、自分たちの都合で近場を選ぶというのは後回しよね。
特に、入居一時金がかかる施設を考える時に。
どんなこと?
特に入居一時金についてはね。
一時金もピンキリだけど、数百万や数千万かかる施設も珍しくはないわ。
それなのに、よく分からないシステムになっているから注意が必要なのよ!
よく考えて決めないといけないわね。
例えば、1年で亡くなられたとして、どれだけ戻ってくるのか?
一時金の償却率などのことも確認しておくべきなのよ!
2番目の費用では、知らないと損をしてしまう知識が他にもあるわ!
償却率ね・・・
予算を考えるうえでも、知っておかなければならないことがあるのね。
そして、最後に立地よ。
納得のいくホーム選びのためにも、もっと詳しく知ってほしいわ!
絞り込み方を分かりやすく説明していくわね。
大事な家族のために!安心を重視した老人ホームの選び方
要介護度3と5では、体の状態も大きく異なりますが、この介護度で共通することは、「常に介護が必要」ということです。
必要な介護や医療が整っているか?
お体の状況を把握して、安心面から施設を絞り込みましょう。
①安心から絞る
施設の種類によっては、24時間介護士を常駐させることが義務とならない施設があります。
逆に、介護士、看護士、医療スタッフなどが24時間常駐するなど、安心できる体制が万全に整っている施設もあります。
まずは、入居者に最低限必要な介護、医療体制というのが絶対条件となります。
そのうえで、更にどれだけの安心を求めるかを考えて絞り込みます。
【例】
糖尿病でインシュリン投与が必要な方
人工呼吸器をつけている方
管で栄養補給をとる必要がある方の場合
絶対条件としては、「看護師が常駐する施設」ということです。
しかし、現在の状態には必要もないのに、必要以上の体制を求めてしまうと、それだけ費用は高くなってしまいます。
施設選びの前には、体の状況をよく把握することが大切です。
また、現在は認知症ではなくても、要介護3~5となると、入居後に認知症が出てくるケースも少なくありません。
軽い認知から重い認知へと進んでしまうことも考えられます。
どんな症状や状態まで対応し、受け入れてくれるかは、施設によっても異なります。
更には看取りまで、先の事も考えておくことも大事です。
以下を参考にして、安心について絞り込んでいきましょう。
- 介護士が日中も夜間も常駐している必要あり
- 看護師が日中も夜間も、毎日常駐している必要あり
- 胃ろうなどの経管栄養、気管切開、たん吸引など、高度な医療ケアの対応が必要
- 「看取り」まで対応してくれる施設
- スタッフ体制:入居者2.5人に対してスタッフ1人以上がいい
- 施設内に医療や介護事業所がある/外部事業所との連携でいい
- リハビリや機能回復訓練がある/特に必要ない
- 認知症に対応してくれる
- 高い認知症でも対応してくれる
より細かくチェックするには、チェックシートをご利用ください。
②費用から絞る
要介護度3~5の方で、入居一時金がかかる介護付き有料老人ホームなどに入居される場合には、「償却率」を確認しておくべきです。
ここで覚えておきたいのが、「初期償却率」と「償却期間」です。
有料老人ホームでは、新規入居者を受け入れるために、事前の準備をします。
準備費用として支払ってもらうのが、初期償却率で算出した金額となります。
入居一時金が1000万円だったとして、初期償却率が30%の例
準備費用として支払う初期償却される金額は300万円となり、入居した時点でこのお金は戻らないお金となります。
仮に、すぐに退去することになったとしても、このお金は戻りません。
なぜなら、入居者を受け入れる費用を一切取らず入居一時金を全額返還してしまうと、ホーム側が赤字となり経営できなくなるからです。
この初期償却率は、各有料老人ホームによって異なります。
次に、初期償却率に加えて、「償却期間」にも注目してください。
償却期間について
5年や7年、10年など、施設によって「償却期間」というのが設定されています。
例えば、
5年なら、初期償却後の残る入居一時金(先ほどの例でいうと700万円)が、5年で償却されるということです。
700万円 ÷5年=140万円
つまり、1年で140万円ずつ償却(減額)されます。
入居から2年で退居となれば、
700万円‐(140万×2年)ですから、420万円が返金されることになります。
問題なのは、この償却率には法的な規制がないということ!
施設によっては、初期償却率30%以上、均等の償却期間も3年という厳しい施設も・・・。
初期償却率が15%~30%程度
償却期間が4年~7年程度としているのが一般的です。

パンフレットなどで明確に提示してない施設や、説明を求めても不透明にしてくる施設もあります。
病気やお亡くなりになって、短い期間で退去となるケースでは、「もっと戻ってくると思っていたのに」ということから、トラブルになることも少なくありません。
一時金の償却率については、必ず確認しましょう。
要介護3~5の方の費用については、「求める安心が高くなると、費用も高くなる」ということも知っておくべきです。
考えていた予算よりも絞り込んだ施設が、オーバーしてしまった場合には、再度①安心から絞るにもどってみてください。
★自分の場合はどうなのか、具体的に知りたい方は、こちらをご覧ください。
経管栄養やインスリン注射が必要なことから、「24時間看護師が常駐」という条件を出していた場合
看護職員を24時間体制で常駐させると人件費がかかるため、当然、施設の費用に反映されて費用も高くなります。
経管栄養やインスリン注射が必要な状態でも、看護師が日中だけいれば対応できるようなケースもあります。
最低限必要なこと、これ以上は必要ないことを明確にして、再度絞り込みましょう。
③家族からみた立地から絞る
「家族が通いやすい、緊急の際に駆けつける」ということを考えると、家族が住む場所から近い場所にあることも重要ですね。
安心面や費用から絞り、自宅からすぐ近くに施設があれば一番ですが・・・。
そううまくいかない場合もあります。
時間で考えると、車で2時間程度でいける施設であれば、無理なく月に2回程度は通えるでしょう。
また、不謹慎な言い方かもしれませんが、看取れる距離だとも言えます。
具体的に
などを考えて、家族が住む地域に限定することなく絞り込みましょう。
実際に老人ホームに入居するまでの体験談
事例1
義母が要介護度3となり、耳が遠く、オムツはしているものの、お漏らしすることも増えてきました。
家の中ではつかまり歩きができたり、歩行器で歩くことはどうにかできます。
ただ、外出は車椅子となり、かなり物忘れもひどくなりました。
私たち家族は隣に住んでいたため、食事の世話や整形外科への送り迎えをしていました。
しかし、夜中にもサポートが必要な状況となり、義母の家に泊まり込んで介護をしなくてはいけない状況に。
自分にも仕事があり、誰も協力してくれない環境でおかしくなりそうでした。
施設内容の条件
日中だけでなく、夜間も介護が必要なことから、介護士が24時間常駐しているホームを絶対条件にしました。
また、寝たきりや、夜間放って置かれるのが嫌なため、「2:1」の介護体制、他にもいくつかの条件をだして絞り込みました。
- 介護士が24時間常駐
- 介護体制は「2:1」
- 軽い認知も出ていることから、症状が重い認知になったときも対応してくれること
- 服薬管理あり
- 看取り対応あり
- 入浴の回数は最低でも週3
- 訪問理容師がくること
- 病状等に応じた食事提供あり
- 訪問診療あり
いくつかの施設に絞り込めたので、費用について確認しました。
費用の条件
一時金がある施設なら、一時金1000万円以内で月額15万円程度。
一時金がない施設なら、月額20万円程度を予算としました。
また、入居金を支払うプランと、入居金0円プランが用意されている施設が多いため、どちらを利用するかも考えました。
義母の場合は、5年以上の入居が予想されるめ、一時金を支払うプランとすることに。
償却率は、初期に3割、残り7割を5年程度で償却する施設というのを条件としました。
それでもまだ施設は10件くらいが残りました。
立地についての条件
家族からみた立地で絞り込むため、ここでも条件を以下3つほどあげました。
- 週に一度くらいは仕事帰りによるため、通勤路線沿いにあること
- 駅から徒歩10分程度のところ
- 出来れば、駅前か施設周辺にスーパーかドラッグストアがあるといい
条件を出したものの、該当施設がなくなってしまいました。
そこで、安心面に戻り、スタッフ体制を3:1にしたところ、4つの施設が残ることに。
実際に見学にいく
夫と義母も連れて全て見学に行きました。
その中でも、
- 施設内がきれいに整理されていた。
- 入居者が作った作品が飾られている。
- 居室から施設横に流れている川が見える。
など、暖かさが伝わってくる施設に決めました。
この施設では、入居家族に対して、ホームの様子や取り組み等を説明する茶話会が年に2度行われています。
その際には、入居者の日々の生活をスライドショーで流してくれるなどもしてくれます。
笑っている姿や、穏やかな表情の写真、食事風景などから食事メニューなど、日々の生活を確認できることで、安心ができます。
家族にも配慮してくれる、信頼できる施設を選ぶことができました。
★自分の場合はどんな条件があっているのか?具体的に知りたい方はこちら
事例2
父が数か月前に脳卒中で倒れ、半身不随となりました。
リハビリ病院に入院したものの、いずれ退院しなくてはいけない・・・。
その後の生活の場をどうしようかと思い調べ始めたのがきっかけです。
自宅での自立した生活はもちろん、私達家族との同居も難しかったので、病院に相談してみました。
特養への申し込みを提案され、申し込みをしましたが、いつ入居できるか分からない状況でした。
そこで、有料老人ホームを本格的に探しを始めることに。
施設内容の条件
安心面ですが、父の状態はほとんど寝たきりとなるため、
- 夜間にスタッフが常駐していること
- 24時間見回りがあること
- 緊急時の対応があること
- 医療保険適応のマッサージが受けられる
- 「車イス」の人でも参加できるリハビリ体操などがある

この条件で絞られたのは、介護付き有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(特定施設)でした。
費用の条件
予算については、一時金がなく、月額30万円以内を考えていました。
特に何かの病気を患っているわけではありませんが、歩けなくなってからは、日に日に体が弱っていくのが分かるくらい。
「あと1年はどうにか・・・」という状態だったので、一時金不要を条件にして絞り込みました。
立地についての条件
施設の場所については、私が車を運転できるため、「なるべく1時間以内で行けるところ」という条件にしました。
施設を絞り込んでいった結果、かなりの数が残ってしまったため、費用を少し下げて、月額25万円以下で絞りました。
それでもまだ5か所程度残りましたが、施設での生活を寝たきり生活にしないためにも、全ての施設を見学することに。
実際に見学にいく
その中でも一番雰囲気のよい施設に決めました。
私達がこの施設に決めた理由は、
- スタッフが明るく元気で対応が良かった
- 車いす生活の入居者の方が、共有スペースで笑顔で談話されていた
- 車いすの方のリハビリ風景をみて安心できた
- 季節に応じたイベントが多く、施設全体が明るい雰囲気だった
父も嫌がることなく入居を受け入れてくれました。
当初予定していた1時間よりも近い20分で行ける距離なので、私自身も非常に楽になりました。
父にとっても、私にとっても良い施設にめぐり合うことができて満足です。